■日本の拠点の運営担当スタッフと在留資格
日本で拠点を開設した場合、日本で日本人を採用して運営にあたらせるという場合もありますが、一方で、本国本社の社長または担当責任者、社員などが日本の拠点に短期または長期間赴任して拠点の運営に従事する場合もあります。
日本人の場合には、そのまま通常の会社で日本人を雇用する場合と同様の手続きで雇用して働き始めてもらうことに、何ら問題はありません。
一方で、本国本社の社長または担当責任者、社員などが日本に赴任する場合には、日本での活動に応じて、日本の入国管理局または外国にある日本の在外公館(大使館・領事館)に在留資格(ビザ)を、別途申請して、許可を取ってから日本で活動をおこなう必要があります。
どの在留資格をもって日本で活動をするかは、慎重に考える必要があります。それによっては、三つの拠点の形態のどれを選ぶかにも関わってきます。また費用をかけて就労可能な在留資格を取得しても、実際にはその在留資格でほとんど滞在しないなどの場合、2年目以降の更新ができない場合もあります。本当に就労可能な在留資格が必要なのか、短期滞在での訪問でもかまわないのではないか、しっかりと検討されることをお勧めします。
■主な4つの在留資格について
日本での活動(日本の拠点から給料の支給を受けるのか受けないのか、経営活動を行うのか行わないのか等)に応じて、そして、職務内容や雇用主・立場によって、取得できる在留資格は異なります。
在留資格の種類は、全部で27種類ありますが、ここではそのうち、日本で拠点を開設して、日本で活動するための在留資格について、おもなもの4つ「経営・管理」、「企業内転勤」、「技術・人文知識・国際業務」、「短期滞在」の特徴を表にしてまとめました。
なお、日本で拠点を開設したからといって、その拠点の代表になる外国人が、「投資・経営」などの就労可能な在留資格を必ず取得しなければならないわけではありません。本国に居住しながら、必要な時に一時的に「短期滞在」の在留資格で来日して指示・監督をおこなうことも可能で、違法ではありません(ただし、日本の拠点から給料を受けることはできません)。
■4つの在留資格の特徴
在留資格 | ①経営・管理 | ②企業内転勤 | ③技術・人文知識・国際業務 | ④短期滞在 |
申請先 (実質的に審査を行う行政機関) |
日本の入国管理局 | 本国にある 日本の在外公館 (大使館・領事館) |
||
就労(日本の拠点から給料を得て行う活動)の可否 | 可 | 不可 | ||
給料を得ずに行う会議、客先訪問、市場調査の活動の可否 | (そもそも給料を必ず得なければならない) 給料を得た上で、会議、客先訪問、市場調査の活動を行うことは可 |
可 | ||
日本での給料の個人所得税の申告・納税義務 | 有 (所得税の申告・納税を行っていないと、1年後の更新が認められない場合がある) |
無 (そもそも日本で給料を受けられない) |
||
取得の難易度 | 難 | 普通 (学歴は不問だが、本国の本社での直近1年以上の勤務が条件) |
普通 (学歴要件がある) |
容易 |
更新の難易度 | 難 (決算状況が極端に悪い場合、更新できない場合がある) |
普通 | 無 (そもそも短期滞在の更新は原則的に認められない) |
|
日本での滞在日数 | 1年間で最低180日以上は必要。 極端に少ない場合、次回の更新時に支障が出る場合がある |
1年間の滞在日数が合計して180日以上になった場合、次の上陸申請(空港での入国審査)で上陸拒否に会う場合がある |
■在留資格「経営・管理」
■在留資格「企業内転勤」
■在留資格「技術・人文知識・国際業務」
■在留資格「短期滞在」